1979年 日本 113分
これまでの横溝シリーズとはちょっと変わった角川映画。
同名の小説「金田一耕介の冒険」の中の一作「瞳の中の女」は未完の作品である。猟奇殺人が起こって歴史ある名家のどろどろした人間関係が・・・。という流れを期待して見てしまった私はオープニングからずっと感じていた違和感を、ついに決定付けられる。ホッケーマスクの窃盗団の女ボス、角川文庫のこの本を出してこれは一体どういう結末?と金田一に攻め寄る。さらに映画化されたフィルムを持ち出す。この作中映画の金田一シリーズの監督は大林宣彦、金田一は三船敏郎。頭をかきすぎて薄くなったと言われてる。世界の三船にハゲとはなんたる暴挙!ちなみに等々力警部は三橋達也だ。
その後も金田一(古谷一行)と等々力(田中邦衛)の暴走は続く。太陽にほえろのパロディ(しかもベタベタ、ヤクザみたいな刑事が文字通り吠えてる)、角川春樹や横溝正史も出演し、自らをパロディ化している。斉藤とも子は憧れのマドンナ風に回想で登場、ラスト近くも「人間の証明」ばりに放り投げた麦わら帽子が麓の岡田茉莉子がキャッチする・・などギャグのオンパレード。時が経って元ネタがわからなくなってしまったパロディも多い。
当時から賛否両論だったと思われるが、今となっては大林監督、つかこうへい氏によるよき時代の大いなる実験といったところだろうか。