2005年09月30日

メイフィールドの怪人たち #451

1989年 アメリカ 101分

ブラックジョークを交えつつ、豪快にどかんと笑わせるコメディー。こういう映画いいですねー。トムハンクスも現在となっては、もうこういう役もやらないのかもしれないけれど、「マネーピット」とか昔の役柄も良かったです。

で、近所の謎の一家に疑いを持ち始めた隣人たちの妄想がどんどん膨らんでいき、ごみを調べたり、部屋に上がり込んだりついには留守の際に地下室を掘り出してしまうという話。最近では本当にやってしまいそうな人が増えたんで事実は映画よりも奇なりになってしまっているかもしれない。「何をやってるのかわからない隣人」というのはいかにもホラー的要素だけど、

トムハンクスのだんだんとエスカレートしていく姿や、人間関係の変化は見てて面白い。邦題からはSFっぽいのを想像するが、中身はご近所コメディ。

ラストはああなのがいいのか、ああじゃないのがいいのか分かれるところだろうけど、コメディ的には納得。


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2005年09月29日

真夜中のカーボーイ #450

1969年 アメリカ 113分

テキサスの若者がNYで金持ちの女をたらしこんで金をもらおうという壮大な計画を持ってバスでNYを目指す。田舎者の私には、NYへ向かうバスの中のジョー(ジョン・ボイト)の姿が身近に感じた。ホテルに着いて窓から町を見下ろす心境、よくわかるよねー。逆に遠くから部屋の中のジョーを映し出すカットが良い。

町でおばさまに声をかけるが、そう簡単にはいかない。ようやく1人の婦人をゲットするが、お金をくれと言うと泣き出して逆にタクシー代にと20ドル取られてしまう。

ジョーは若く体力はあるが、他には何もない。テンガロンハットでNYの町を歩く姿はまさに土地的にも時代的にも浮いてる。知恵袋と言えるべき存在が必要だ。

そこで運命の出会いをするのはリコ(ダスティン・ホフマン)。口八丁でジョーを騙し、カネをまきあげるが、足と肺が悪く、ろくなことをしないので町の人たちからも見下されている。決して知恵袋とはいえない存在なのだが、夢破れつつあったジョーはリコの無断拝借しているアパートに住み込むことになる。そしてリコの症状は悪化し・・。

都会の中で成功どころか普通の生活さえままならない二人だが、ジョーの明るさとリコの暗さは対照的。似ているようで似ていない、違うようで同じ。リコは数年後のジョーなのかもしれない。二人並んで歩くとダスティン・ホフマンの身長の低さが目立つが、存在感では上回っている。「卒業」に続く主演二作目が本作のようだけど、すでに大俳優の貫禄を感じさせます。

それからジョーがうなされる過去の体験は結局明らかにされなかったが、それはそれで考えさせられるものであるし、結末もまた起承転、ときて、あれ?と思わせる起承転転?とでも言おうかアメリカンニューシネマ独特というか何というか、とにかく切ない感じ。

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2005年09月28日

男はつらいよ 寅次郎忘れな草(男はつらいよ11) #449

1973年8月 日本 99分

マドンナとして最多の4作品に登場することになる浅丘ルリ子のリリィーがついに登場。女版寅さんとも言えるそのキャラクターはもしシリーズが続いていたら寅さんはリリィーと結ばれたんじゃないかと思えるほどである。

オープニングの夢は大江戸ふう。父親の法事中にふらりと帰ってきた寅。「ついにおいちゃんが・・」とやっぱりまったく覚えていない様子。その後も真面目にやらない寅にとらやの面々が叱る。

満男は幼稚園に通い始めている。さくらは満男にピアノを習わせたいが、買うお金も置く場所もない。ピアノくらい買ってやれよ、と博を責める寅は真面目な顔をしておもちゃのピアノを買ってくる。ここでまた禁句ネタ。寅の前で本物のピアノが・・ってのは言っちゃだめだよ、と打ち合わせるおいちゃんたちだったが、ふらりと現れたタコ社長がぶち壊してしまう。さすがタコ(笑)

去っていく寅に博は「僕もどこか遠いところ、北海道にでも行きたいなあ」とつぶやく。で、場面変わって北海道。この辺のつなぎはうまいですね。酪農に住み込みで働くことを決意した寅は、初日こそ頑張るものの2日目にはダウン、床に伏してしまう。さくら、シリーズ2度目のお迎えに。

んで、柴又に帰った寅が喧嘩して出て行こうとしたところに、北海道でバッタリ会ったリリーがとらやの前に!というお約束の展開。さすがに家の前で会うなんて偶然があるわけないじゃん、なんて思ってはいけません(笑)根無し草のリリーがとらやの面々と楽しく過ごすシーンはシリーズの中でも温か味を感じる良いシーン。庭の忘れな草の名前を聞いたり、恋をしたいと言ってみたり、初恋は寅さんとつぶやいてどぎまぎさせたり。2階で綺麗な月を見ながら2人が喋っているのを下でみんなが心配そうに聞いていたり・・。

結局母親と喧嘩し安キャバレーで客ともめたリリーは酔ってとらやに夜中に来て寅とも喧嘩別れしていく。寅さん以上に寅さんっぽいリリー、どうなることやら、と思ったらしっかりすし屋のマスター(毒蝮三太夫)を捕まえておかみさんに。本当は夫よりも寅さんが好きだったと笑顔で話し、爆笑する客。ようやく幸せを掴んだ・・ように見えた。


今回の泣き所
・御馴染み上野駅地下の食堂街、さくらは旅に出る寅次郎に荷物を届けに来る。満男におやつでも、と差し出そうとした寅の財布には500円(寅の財布にはいつも500円 笑)しか入っていない。黙って自分の懐から兄の財布へお札を入れる。

今回の笑いどころ
・お世話になった北海道の酪農一家(織本順吉)に手紙を書く寅。江戸川で源公に投函するよう命じるが、もらった瞬間川に落としてしまう。何事もなかったかのようにへらへら笑って去っていく源。台詞はないけど要所を押さえていますね。

寅さんトリビア
・リリーの芸名は「リリー松岡」・・売れなさそう^^。虫歯が痛いよという母親役は日本映画の名脇役さん。
・工場の若者の恋愛エピソードが何気に挿入。寅さんに「恋人」と言われただけで泣きながら逃げていく純情なカップル、男の方は江戸家小猫。若いです。水谷豊かと思った。
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2005年09月27日

男はつらいよ 寅次郎夢枕(男はつらいよ10)#448

1972年12月 日本 95分

オープニングの夢は鹿鳴館風。さくらと博の間に入った親分をピストルで撃ち警官に連れられ去っていく寅。そして蒸気機関車が・・。やっぱり駅で寝てた寅、木に生っていた柿を食べるが渋柿。

柴又に帰るが帝釈天では「トラのバカ」というラクガキ、「寅さんみたいになるよ」と説教する母親を見て傷心の寅。とらやであっけなくおいちゃんに見つかる。朝日印刷で俺の悪口を言ってるだろうと博に迫る。報告に来たタコ社長と寅を誉める作戦が功を奏し、殊勝な気持ちになる寅。聞こえてくる鐘の音に心を研ぎ澄まし、源が心を込めて打ってるんだろうねえ、とつぶやく。

心を入れ替えた寅に、あとはお嫁さんだけだと、縁談を探すおいちゃん達だったが、寅の名前を出した途端断られる。流石に居づらくなった寅は旅に出る。

旅先の茶屋の店先でかつての友人の訃報を聞かされる。ちなみに店主は田中絹代。豪華なゲスト出演だ。このシーン、やや話から浮いているような気がしなくもないが。

そして宿でまたまた登と再会。前回とは逆に今度は寅の方が置手紙を置いて先に出て行く。
とらやでは、御前様の甥の東大の助教授(米倉斎加年)が一時的に下宿している。友人の墓参りに柴又に戻ってきた寅次郎は、いけすかない助教授を苦々しく思い出て行こうとしたところ、幼馴染のお千代(今回のマドンナ・八千草薫)とバッタリ会って居残ることに。

いつものように寅が恋に落ちそうなパターンになりそうなところを今回は助教授が破る。お千代さんに一目ぼれしてしまうのである。助教授の様子がおかしいのを見抜いた寅はさんざんもて遊ぶが、最後は間に入って仲を取り持とうとする。

結末はシリーズ初の快挙!寅はお千代に助教授との話を持ちかけるが、お千代の意中の相手はなんと寅次郎!寅は思わず腰を抜かしてしまう。あと一押しができずに話は流れ、助教授はアメリカへ寅はまた行商へと旅立っていくのであった。


今回の笑いどころ
・「源が心を込めて打ってるんだろうねえ」とつぶやく場面が切り替わり、鐘を付いている源吉へ。鐘に貼ってある寅の似顔絵めがけて怒涛の突き!ベタなギャグが似合う佐藤蛾次郎さんです。
・禁句ネタ。離婚して子どもと離れ離れのお千代さんを励ます夕食で「子ども、せがれ、息子」は言ってはならないと皆で誓う。が、新聞やTVニュースでは子どもの話ばかり、歌でも歌おうと歌った歌が、「七つの子」シリーズ中何度か出てくる禁句ネタ、オチはわかっているものの、やっぱりおかしい。

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2005年09月26日

男はつらいよ 柴又慕情(男はつらいよ9)#447

1972年 日本 108分

この作品以降定番となる夢オープニング。貧乏夫婦の博とさくらを助ける通りすがりの木枯らし紋次郎(寅次郎)、まさか兄さんでは??というところで目覚める。寅さんはよく駅のホームで寝てて汽車の時間で起こされる。

とらやでは、2代目おいちゃん松村達雄が、2階の部屋を貸間にしてる。博のアパートが家賃値上げでタコ社長が貸してくれた土地に一戸建てを計画してるので、その資金の足しにしようというわけだ。当時、貸間賄い付きというのは多かったようで、これまでのシリーズでもマドンナが二人世話になっている。短期の寝泊りを含めると全48作中1/3の割合となる16人が二階の部屋を利用したことになるそうだ。で、自分の部屋がなくなったと憤慨する男が約一名。早速喧嘩になって飛び出していく。

不動産を回る寅だったが、なかなか良い部屋が見つからない。この際どうでもいいやと案内された車中で高いびき。お世話になります、と着いた先は・・・そう、とらやである。家に帰っただけなのに不動産の親父には手数料を請求され、またまた大喧嘩。旅に出る。

向かった先は北陸金沢。宿で偶然再会した登と杯を交わし、隣に泊まっていたOLグループと福井で合流。故郷には30年も帰っていないとホラを吹きつつ仲良くなっていく。その中の一人、歌子(吉永小百合)は、小説家の父親に結婚を反対され悩んでいた。

そして葛飾柴又。旅から帰った寅は江戸川のほとりでOLとばったり。故郷の家を探してあげるととらやに案内される。OLらに歌子の話を聞き、思いを募らせる。そして歌子がやってきて・・。

恋の行方は定番どおり、博夫婦に励まされ、愛知の陶芸家の元に嫁ぐ。ハッピーエンドであるのだが、実は第13作目で歌子のその後が判明する。父親とはやっぱりうまくいってないようで・・・。

さて、歌子の父親は宮口精二。「七人の侍」の剣豪だ。無口で無愛想な父、江戸川沿いを帰る後ろ姿、渋い!

今回の笑いどころ
・いつ歌子がとらやに来てもいいように、行商に出ずに帝釈天で掃除を手伝う寅次郎。真面目にやってると電話する御前様のうしろで源と遊んでいる姿が・・。画面の隅っこまで見逃せないカメラは秀逸。今回は源公、登、と寅ファミリーが揃い踏みでした。

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2005年09月25日

「仁義なき戦い」と「ダイナマイトどんどん」

先に見てしまったので気付かなかったが、岡本喜八監督の「ダイナマイトどんどん」はヤクザシリーズ全般の最高のパロディ作である。こと「仁義なき戦い」を見ても、キャスティングといいキャラクター設定といい、あのキャストが・・!という出かたをしている。

まずは主演の菅原文太。ダイナマイト〜ではちょっとズッコケの役である。広能の面影は・・無い。そしてライバルが北大路欣也。にくい演出だ。
さらにトーナメント1回戦の敵のピッチャーが田中邦衛、ここもしっかりと溜飲を下げられる。組長が金子信夫、ここでもコミカル。

絶対ペアで見て欲しい。

ダイナマイトどんどん #377
仁義なき戦いシリーズ

深作欣二
岡本喜八監督
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2005年09月24日

仁義なき戦い 完結篇 #446

1974年6月 日本

前作から5年後の昭和44年から45年にかけての広島ヤクザ社会を描く。脚本が高田宏治に代わったが、笹原資料を基に前作までのキャラクターが勢揃いしている。

組の構成は多少変化していて、武田明(小林旭)が江田(山城新伍)、早川(室田日出男→織本順吉に役者変更)らと暴力団ならぬ政治結社天政会を設立し、山守は会長を退いている(が、愛人には会長復活を虎視眈々と狙ってる旨を伝えてる。転んでもタダじゃ起きません。)新たに松村保(北大路欣也)が理事長として武田の後釜として着実に力をつけてる。2作目に千葉真一がぶっ飛びで演じていた大友勝利が本作では宍戸錠となって復活。相変わらず強烈なキャラクター健在。

網走刑務所に服役中の広能は獄中で手記を執筆中。広能組は氏家(伊吹吾郎)が仕切るがパワーダウン、同じく服役中の槇原組もやや乗り遅れている。広能の兄弟分である市岡輝吉(全5作に3人目のキャラで登場の松方弘樹)が天政会と抗争を始めようと狙っている。まずは天政会の反主流派の早川、さらに犬猿の仲であった大友を引き込み勢力を拡大していく。
仮出所した槇原(田中邦衛)に大友らが近づく。「呉の槇原が松村に肩越されて黙っちょれん」と啖呵をきるが、その直後松村にシノギを渡され速効で態度一変、手のひらを返して松村に付く。

一大勢力となったのを恐れた天政会は市岡を殺害(松方さん3度とも華やかに散ります!)、大友は逮捕、早川は引退を表明。事態は収束に向かうと思われたが、早川は反松村の勢力である百人会を結成、そしてついに広能が出所してくる。

・・・

上映されたのは1作目から2年だったが、作品の中では25年が経過している。武田の言葉通り、2回り下の奴らに命を獲られる時代、引退を意識し始めるのも当然ではある。そして文字通り命がけで広島をまとめた松村は、同じ北大路がやってるから、というのもあるけど2作目の山中を髣髴させる。もし生きていたら・・と、思ってしまうのは決して狙ってないわけではないだろう。

全5作に登場しながらも、広能と山守組長は一戦交えることなく終わってしまうのは残念だが、一人の男の人生としてはそんな感じなのかもしれないと思う。第4作で山守との因縁は終わってしまっていたかのようにも見える。その上での第5作完結篇は、その人気のあまり後からくっつけたわけだが、番外編だった第2作も生きてくるし、シリーズの終わりとしては申し分ない出来栄えになっている。実は同じ年にすぐ新シリーズが始まるのであるが、未だに根強い人気の第1シリーズ5作は完成度の高いものであることは言うまでもない。意表を突いた想像もできない展開、それぞれの人間描写、スポットが当たる時間は短いものの端役の一人ひとりの人生をうまく描いていると思う。

深作欣二

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2005年09月23日

仁義なき戦い 頂上作戦 #445

1974年1月 日本

シリーズ第4作は3作目の続き。山守組は武田、江田、槇原に加え、寝返った早川と、万全の体制が整っている。対する広能、打本、明石連合は義西会の岡島会長(小池朝雄)若頭の藤田(松方弘樹)や打本の舎弟の川田組(顔だけなら一番怖い三上真一郎)を引き込もうとしていた。今すぐにでも開戦!という感じで助っ人らが広島に集まってくるが、さすがにここまで大きくなってしまうと世論や警察、組の関係が絡みなかなか動き出すことができない。散々飲み食いした金を武田に回す山守組長や、ここぞとばかり山守の女に手を出す岡島など、緊張の中にもいろんな駆け引き(笑)が見られる。

ついに立ち上がろうとする広能だったが、一度目は若手に止められ二度目は直前に逮捕されてしまう。これは激化する抗争を鎮静するための警察の作戦で、組長クラスを次々に逮捕していく。結果打本は腰砕け、明石組も撤退、抗争は終焉せざるを得なくなってしまう。

前作から引っ張っておいて、本格化する前に沈静されてしまうという、いささか消化不良のストーリーであるが、それが却って現実味を増していて、ノンフィクションであることを思い出させる。

ラストの裁判所の廊下で菅原文太と小林旭が結果を振り返るシーンは、いろんなことがあって、目的は達せられなくて、山守組長よりも懲役が長いといういわば敗者の菅原の話を、敵であるはずの小林が聞いているという印象的なシーン。これでシリーズ最後、の予定だったらしいが、あまりの人気でもう一作作ったそうだ。そして次の第5作で(ひとまずであるが)大団円を迎えることになる。

深作欣二

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2005年09月22日

仁義なき戦い 代理戦争 #444

1973年9月 日本 102分

3作目からは4作目へと続く広島抗争を描く。代理戦争とは当時の米ソ冷戦下でよく使われていた言葉だそうだが、本格的に抗争に入るまでをそれに見立てている。

主な人間関係は

山守組
山守組長は健在。槇原(田中邦衛)はしっかり槇原組を結成、山守組の中でも良いポジションをキープしている。仮出所している立場上、保護監視の名目で山守組に戻ってきた広能であったが、当然組長も槇原も気に入らない。親交のある神戸明石組の岩井信一(梅宮辰夫)と村岡組の舎弟打本(加藤武)を兄弟とし、勢力の拡大を図る。

村岡組
前回の組長村岡は体調不良で引退。若頭の松永弘(成田三樹夫)、出所した江田省一(山城新伍)、今回初登場の武田明(小林旭)らは、まずは跡目に山守組長をおくことを提案し、村岡組は山守組と合併する。打本のみは明石組との関係が村岡にバレ、蚊帳の外に置かれる破目に。

明石組
明石辰夫組長(丹波哲郎)のもと、山守組からはじかれた打本を支援する口実で中国地方を攻める足元固めをする。しかし、山守組が明石組と対立する神和会と縁組になったことから、対立を深めていく。

そして広能
打本と明石組の間に入るが、打本にとっては裏目に出てしまい恨まれる。山守組と神和会の縁組の際には、これに乗じて山守親分の引き摺り下ろしを画策するが、武田に阻まれる。武田から除名され、明石組と組む。明石ー広能ー打本連合VS山守ー神和会の抗争の始まりである。

という文章のみではなかなか理解できなさそうな感じだが、見慣れるとさほど複雑ではない。打本の手下の早川(室田日出男)のように、あっちに付いたりこっちに付いたりというのを除けば、広能と山守組長の18年の因縁は普遍だし、小林旭がズドーンとかっこいいんで柱が立った感じ。菅原、小林、成田、山城という顔ぶれが並ぶとやっぱり豪華。最初から次回に続く予定で作られているのでストーリー的にはさあこれから、というところで終わるが、キャストで腹いっぱいである。

さらに広能組の組員で、大抜擢された川谷拓三。スクラップを盗んで女に貢いだのがばれ、指だけじゃ足りないとばかりに手首から摘めちゃう。新たに加入した渡瀬恒彦に自分の女を抱かせ、槇原を殺させに行かせる。女が渡瀬に本気で惚れてしまったのを知るや、再度暗殺に向かった渡瀬のことを相手にチクって自分は逃げていく、という重要な?役割をこなしている。渡瀬も報われないのはいつも若者、という役割で、無鉄砲に突っ込んでいって壮絶な最期を迎える。

シリーズ3作目にして本格的な流れが出来てきてて、最初から見てると絶対はまりますね。
映画と一緒でブログも4作目に続く、で終わります。

深作欣二

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2005年09月21日

仁義なき戦い 広島死闘篇 #443

1973年 日本 100分

今回の主役は北大路欣也。前回の舞台である呉の山守組から少し離れて広島市が舞台となっている。前回の山守組長的な存在を村岡組長(名和宏)が務めている。もちろん菅原分太や金子信夫も出演するが、今回は脇役に徹していることがシリーズの重みを増している。

時代は昭和25年〜30年まで。山中正治(北大路)は賭博場で暴れ刑務所に。丁度広能昌三(菅原文太)が土井組長殺害で服役中で監禁所にご飯を差し入れするという取ってつけたようなエピソードから始まる。これは原作の中にはちょっとだけしか出てこない山中のキャラに目をつけた脚本の笹原和夫がシリーズに組み込んだためで、実際には山中と広能に面識はなかったようだ。その点以外では村岡組と大友組の人間関係はその後のシリーズにうまく引き継がれており、脚本のうまさがさらに引き立っている。

さて、物語はその後出所した山中が大友連合と揉めボコボコにされる。介抱した村岡組長の姪靖子(梶芽衣子)を食っちゃって飯塚に逃げるが、そこでの活躍を買われ再び広島へ戻ってくる。その頃(昭和27年)広島では、村岡組と大友連合会が、広島競輪場の警備を村岡組が独占したことから再び険悪なムードになっていた。村岡の兄弟分の時森勘市を抱き込んだ大友勝利(千葉真一)は、村岡組を襲撃。村岡は山中に報復を指示する。山中は呉で広能組を結成していた広能に相談。広能が動こうとするが、時森は山守組長(でたー!金子信夫)に泣きつく。

というやや、ややこしい展開の中、広能は時森を処分(前田吟が「まあ、一杯飲んで」と差し出された日本酒をキューっといき自首するシーンはなんだか凄かった)し、山中は大友組の残党を殺害し、無期懲役となる。刑務所で叔父貴の高梨(小池朝雄・この人も悪人似合う!)に靖子と別れさせるために山中をヒットマンとしたことを告げられる。注射器で血を抜き、口から吐いて結核を装い病院に運ばれた隙に脱走。靖子の元に急ぐが、すでに脱走したことを聞きつけた村岡組長は嫁に出していた靖子を家に戻しており事なきを得る。

こうして村岡組長に踊らされた山中は出所した高梨を殺害し、警察に追われ隠れた家の中で・・・。

前作と比べると金子信夫の狡賢さには敵わないものの、これまた村岡組長の謀略が描かれている。腹心である成田三樹夫が一本筋を通しているのが救い。大友連合と村岡組は大抗争になる前に世論に後押しされた警察が活躍し手打ちとなるが、大友(千葉真一)のチンピラ風のたたずまいと裏腹に無茶苦茶えげつない仕打ち(川谷拓三を海で引きずりまわした上、吊るして射撃の的に!!!)や山城新伍、室田日出男、八名信夫らの元気な姿も拝める。

菅原文太の渋さに比べて北大路は後先を考えず突っ走る青春ストーリーとも見れる。シリーズを通して若者の弾けるエネルギーと、それを裏で操る老獪なお偉方という構図が見るものの心を打つ。

深作欣二

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2005年09月20日

仁義なき戦い #442

1973年 日本 100分

飯干晃一原作、深作欣二監督のヤクザ映画の金字塔ともいえるシリーズの1作目。タイトルの「仁義なき」とはそれまで義理人情で描かれていたヤクザ社会をカネのためなら裏切り寝返りも平気な世界として映し出していることに由来してる(と思う)。

東映の正月映画第2弾(第1弾は高倉健の「昭和残侠伝 破れ傘」と「女因さそり」)として、実在の呉市の暴力団抗争の中心人物である美能幸三が獄中で書いた手記を飯干晃一がまとめ、笹原和夫がさらに取材を重ね脚本を書いた。高倉健の任侠シリーズのブームが去りそうな時代に新たなヤクザ映画として大ヒットした。

物語は戦後の闇市から始まる。復員兵の広能昌三(菅原文太)は仲間の復讐に無法者を殺害し刑務所に入る。出所後待っていたのは地元ヤクザの山守組長。前半は山守組と土居組の対立を描いている。刑務所で兄弟の契りを交わした若杉(梅宮辰夫)が絡み、広能は土居を襲撃。しかし若杉は・・・。

そして広能が再び服役中、山守組は分裂、若頭の坂井鉄也(松方弘樹)が台頭、新開宗一(三上真一郎)一派との間に内部抗争が勃発する。中でもイケイケの有田(渡瀬恒彦)らはヒロポンで大儲け、裏で山守組長もその市場にあいのりしてる。坂井らは新開一派の一掃するが、・・・・。


泣き落とし、命乞いとなんでもやって私腹を肥やす山守組長(金子信夫)、イイ感じで横から入ってくる奥さん(木村俊恵)こっちに付いたと思えばまたこちら、とスパイ行為を繰り返す田中邦衛、ヒロポンを売って一旗挙げようとする渡瀬恒彦、キャストも凄いが、キャラクター祭りである。

2作目からは使われなくなったが、昭和○年、誰々死亡のテロップと共に流れる「ちゃらら〜ん」というBGM、よくコントに使われていたが、オリジナルをやっと見れた。

この後全10作、平成に入ってもさらに続編が作られているが、主要な登場人物が次々に死んでいき、一体次からどうなってしまうのだろう???20世紀の終わり、馳星周の小説に度肝を抜かれたが、その20年前にこれほどぶっ飛んだ映画があったとは!誰も先が読めないストーリーから目を離せない。

折りしも2005年9月衆議院選挙で広島の選挙区で立つ抵抗勢力の首領(ドン)、亀井静香氏に向けて、小泉自民党が放った刺客(ライブドアの堀江社長)。世の中は政界の「仁義なき戦い」に興奮したが、亀井氏の応援に菅原文太が駆けつけていた。もちろん当時よりもふっくらして白髪が多くなっているがその佇まいは健在!

現代でもまだ人気は継続中なシリーズ。2005年9月発売の「大衆EX」10月号では特集が組まれている。文中ややこしくて書けなかった人物の相関図もあり!

深作欣二

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2005年09月19日

仁義なき戦いシリーズ

32年前の作品でありながら未だ根強い人気を誇る「仁義なき戦い」シリーズ。
まずは第1シリーズ5作品を見ました。感想は・・凄い!の一言。詳細は明日以降書くとして、シリーズの時代背景をまとめておきます。

仁義なき戦い#442
 昭和22年から昭和30年。呉市にて主人公である広能昌三が、山守組員となり、組長と反目していく姿を。
仁義なき戦い 広島死闘篇#443
 昭和25年から昭和28年。広島市の村岡組の若手山中正治の人生を。
仁義なき戦い 代理戦争#444
 昭和35年から昭和38年。呉市、広島市。関西を巻き込んで広島ヤクザ抗争が激化していくまでを。
仁義なき戦い 頂上作戦#445
 昭和38年から昭和39年。広島市。代理戦争で火がついたヤクザ抗争の成行を。
仁義なき戦い 完結篇#446
 昭和44年から45年。その後の広島ヤクザの世代交代の軌跡を。

新・仁義なき戦い
新仁義なき戦い #537 (1974)
仁義なき戦い 頂上作戦 (1974)
新仁義なき戦い 組長の首 #538 (1975)

深作欣二

その後の仁義なき戦い #2071

平成シリーズ
新・仁義なき戦い #2076
新・仁義なき戦い/謀殺 #2079

仁義なき覚書
深作親子の「仁義なき戦い」
「仁義なき戦い」と「ダイナマイトどんどん」
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2005年09月18日

8mm #441

1998年 アメリカ 123分

たった一本、数分の8mmテープからそこに出てる人物を探し出す、という超難題。しかもポルノ、殺人、というアングラな世界である。フィルムの中で切り刻まれた少女は本当に殺されたのか、私立探偵のウェルズ(ニコラス・ケイジ)が一人で暗黒の世界へ立ち向かっていく。

ヒジョーにシリアスで暗い、でもしっかりしたサスペンス。前半のなかなか手掛かりが見つからず、困難な捜査を繰り返すシーンはサスペンスでは定番だが、ストーリーが展開しない地味な部分をどう表すか、力量の問われる部分ではなかろうか。本編ではアングラショップの店員役でホアキン・フェニックスを登場させ、前半部分を引っ張らせた。後半ではニコラスのよき相棒となっていく友情物語ふうの部分もあるが、凄惨な最期が待ち受けている。

そしてその道の最高峰の監督であるディーノに会い、フィルムに映されていたのは現実に行われていたことだと知るニコラス。探って行ったばかりに関係者はみな不幸になっていき悩むが、元を断ち切ることで解決させようとする。

アングラポルノ、獣姦、殺人フィルムの撮影現場が映されるが、「もうすぐインターネットに取って代わられる。顔も見ないままフィルムだけが取引されていくのだから」という台詞がすっかり現実になってしまっている。もしかしたら現在はこの映画よりもとんでもないことになっているのかもしれない。この映画で絶った悪の根はさらなる広がりを示している?!

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2005年09月17日

すべてをあなたに #440

1996年 アメリカ 110分

60年代を舞台に売れないバンドが一気にスターダムにのし上がっていく姿を描いた作品。60年代を再現した町並みやTV、髪型や音楽が「イカス」!

多分ビートルズを意識していると思われるバンド編成やメロディで、ヒット曲になったテーマソングはなんとトムハンクスの作詞作曲らしい。この人何でもやっちゃいますね。

電気屋の息子にドラムのピンチヒッターを頼んだところ、コンテストでいきなりムーディーな曲をアップテンポで弾いてしまう。ところがこれがバカウケ、あれよあれよという間に大ヒットとなる。

プロデューサー役のトム・ハンクスは、「パンチ・ライン」のコメディアンが引退してプロデューサーになって若手を発掘しているという感じ。同一人物に見えてしまうのは私だけ?

いかにも起こりがちなラストと、オチが効いたクレジットまでたいへんに気の利いた作品。見ててスカッとする映画です。

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2005年09月16日

レイジングブル #439

1980年 アメリカ 128分

ロバート・デ・ニーロ主演でアカデミー主演男優賞を獲得したマーティン・スコセッシ監督の作品。40年代に実在したボクサー、ジェイク・ラモッタの栄光と破滅の人生をドキュメンタリーっぽさも含めて劇的に描く。

ボクシングシーンの斬新なカメラ、こっから撮るかい!?と思わず突っ込みたくなる映像や、白黒画面であるが、鮮やかに見える出血。八百長も含めたボクシング界の裏話やリングを降りたボクサーの姿が生々しい。

それとなんと言ってもロバート・デ・ニーロ!ボクサーの時は引き締まった体型だったのが、リングを降りて放浪してる時はでっぷりと下腹が弛んでる。医師の元で脅威のダイエットをして撮影に臨んだそうだが、鬼気迫るものがある。のちの貫禄十分の姿もいいけど、やっぱりこの映画は彼の代表作の一つに挙げられるでしょうね。


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2005年09月15日

イージーライダー #438

1969年 アメリカ 95分

若者の無気力化・無軌道化、人種差別、ドラッグ、など当時のアメリカを風刺した「アメリカン・ニューシネマ」。主題歌の“born to be wild"に乗って広大な大自然をバイクで滑走する2人の姿がかっこ良い。

さすがにこれほどの名画になると繰り返し見て、見るたびに新たな発見があった!とか、最初に見たとき見えなかったものが見えてきた。というような意見を目にする。が、今回の私は全く逆。ああいう旅に憧れて行く先々でいろんな特異な経験をする、ということにワクワクしてた頃は、あの展開もあの映像も非常に興味深かった。ところが旅なんてすっかり現実感のなくなってしまった現在は、なぜかあまりピンと来なくなってしまった。あくまでも非日常の世界であり、現実に起こっていることであってもTVから見ると現実感がないといった情報化社会の弊害がここにもあらわれているのだろうか??否、私自身にピュアな心がなくなってしまったのだろう。ちょっと自分を省みる95分となってしまった。


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2005年09月14日

寅さんと効果音(男はつらいよ雑談2)

「男はつらいよ」シリーズは脚本のうまさやカメラワークもさることながら、場面転換などに使われる効果音も抜群である。
中でも三大効果音は「蒸気機関車」「三味線」「寺の鐘の音」だ。

将来蒸気機関車がなくなって懐かしい映像になるだろうということを予感してたからかどうかは定かではないが、「蒸気機関車」は本当に良く出てくる。「ボーーッ」という音に起こされたり、そのままオープニングテーマに移行したり、エンディングを迎えたり。映像の中にも何気なく機関車がシュッポシュッポ煙を炊きながら横切っていくシーンも多い。

次に「三味線」。これは喜劇風に笑いを狙ったシーンで必ずかかる訳だが、「ペペンペン」というお約束が聞こえてきたら、さあ笑おう、という準備をしてしまうので、条件反射となってしまってる。尺八の音色と合わせて聞こえてくるとその効果は倍増する(笑)

そして帝釈天の鐘の音。8作目では寅次郎の心にマドンナが染みてくる時にボーンという音を被せていたが、これもまたお寺の近くという地の利を生かした効果音である。鐘を突いているのは源吉でしょうか。
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2005年09月13日

初代おいちゃん森川信(男はつらいよ雑談1)

残念ながら8作目の「男はつらいよ 寅次郎恋歌」の公開のあと、1972/03/26に亡くなってしまう森川信。8作目でも元気な姿を見せていただけあって、淋しい限りである。

結構毒舌で、おばちゃん(三崎千恵子)に失礼な発言をバンバンしたり、寅さんとも時には殴り合い、時には言い合い、一歩も引かずにがっぷり四つで向かい合う姿はおいちゃんのその後のイメージを決定付けた。

「馬鹿だねえ〜、どうして馬鹿なんだろうねぇ〜」という台詞は森川信さんのアドリブだったらしい。他にも「俺はしらねーよ」なんていう決め台詞も。おいちゃんだけで笑わせるシーンも数々あった。

第8作では、老い先短い老夫婦、とか不幸な人生「だった」とか寅次郎に言われているが、まさか演じてる本人が亡くなるとは思いも寄らなかっただろう。残念!初代おいちゃんが見れるのは全48作の1/6にあたる8作のみ。貴重です。
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2005年09月12日

男はつらいよ 寅次郎恋歌(男はつらいよ8)#437

1971年 日本 114分

9月の長雨にたたられて、客足の遠のいた旅芸人一座(この後の作品でも度々出てくることになる坂東鶴八郎一座)を訪れた寅次郎、宿まで送ってもらったお礼に、お金を渡す。が、間違えて5千円もあげてしまう。定番のお札間違えギャグからスタート。

そしてとらや。これまた定番の寅次郎のお迎えシーンから。とらやの前をちょろちょろ、なかなか入ってこない寅、や、絶対ヘンなタイミングで現れるタコ社長など、よくもまあ毎回違うパターンを思いつくものだなと思うくらい趣向を凝らしている。

で、今回もまた初っ端から大喧嘩、旅立っていく。そこへ博の母親の危篤の電報が。新幹線で実家の岡山県備中高梁に向かう博とさくらだったが時既に遅く、葬式となる。訪問客の中に普段着で現れる寅次郎が。いつもの調子で墓前で笑わせ、兄弟の顰蹙を買ってしまう。父親に不満を持つ続け母親が不憫でならない博はその夜兄弟と言い合いになる。私は男兄弟に憧れていたので、涙を流しながら言い合える、このシーンはうらやましく感じる。そして一人残った父親(第1作目同様志村喬)と2,3日過ごすことになる寅次郎に、志村喬が話を聞かせるシーンは名シーンの一つ。ジーンと来ます、この人やっぱり凄い!「人間は絶対に一人じゃ生きていけない。人間は人間の運命に逆らっちゃいかん。そこに早く気がつかないと不幸な一生を送ることになる。」という寅にも自分にも言い聞かせているような台詞、重みがあります。

柴又に帰った寅が、この話を受け売りで話すがおいちゃんたちが茶化すというこれまた定番シーンを経て、今回のマドンナである六波羅貴子(池内淳子)の登場だ。帝釈天の前で喫茶店を開業した彼女は小学三年生の子どもを持つ未亡人。寅に会わせまいとするおいちゃん達だが、狭い町内で出会わない訳がなく、目出度く?出会ってしまう。

早速子どもと仲良くなり、急接近する。貴子には1−6作のマドンナのような男性はいなかったが、店は借金を抱えており、自分の力では解決できないと諦めた寅は、風の強い夜再び旅に出るのであった。

今回の笑いどころ
・喫茶店へ向かおうとするがおいちゃんたちの目が気になって行きにくい寅。反対方向へ向かうが花売りのおばちゃんの大きな籠に隠れて喫茶店へ。もちろん隠れることはできずバレバレ。この花売りが来るタイミングが絶妙。テンポ良い笑いは流石。
・おいちゃんが寅が話した受け売り話を「どうせどこかのいい加減な男にでも吹き込まれたのだろう」、と張本人である志村に話すシーン。おいちゃんギャグだけで笑えるシーンが何度も出てくる。公開の3ヵ月後に亡くなる森川信の名シーンだ。

今回の泣き所
・酔った寅次郎がさくらに歌を歌わせるが、選んだ歌は「かあさんの歌」。その後の博の母親の危篤を暗示させるわけであるが、さすがにやり過ぎた寅次郎がこの歌で我に返り、反省して出て行く。止めるに止めないさくら。


寅さんトリビア
・博は男ばかりの三兄弟の末っ子。次男役の穂積隆信とはその12年後TVドラマの「積木くずし」で前田吟が穂積隆信の役を演じるという因縁?がある。
・タコ社長の工場の工員に柴俊夫・・らしき人が。寅にはたかれて工場を辞めるという人。本人かどうかは未確認。
・マドンナの喫茶店は2作目あたりでは工事中になっている。実はこの店、この人は実在の人をモデルにしている。現在はうなぎ屋かなんかに変わっているらしいが、当時は大人気だったようである。
・正月に公開されたシリーズ初のロードショーで観客は100万人を突破した。
・シリーズ全部に出演してる・・と思ってた佐藤蛾次郎さん。実はクランクイン直前に自動車事故で入院、この作品だけには出てません。

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2005年09月11日

男はつらいよ 奮闘篇(男はつらいよ7)#436

1971年 日本 92分

オープニングは集団就職列車に立ち会う寅から始まる。ピンと来ないが、1974年頃まで「集団就職列車」というものがあったらしい。

寅が帰ってくる前のとらや、今度こそ温かく受け入れてあげようとおいちゃんが寅の役でリハーサル。この声真似がそっくりで大笑い。ちょっと悪ノリしてた所で本人登場!ここで一もめ。母親お菊とのエピソードでまた一もめ。そして旅に出る。

所変わって静岡沼津。たまたま入ったラーメン屋で知的障害を持つ少女、今回のマドンナ大田花子(榊原るみ)に出会う。店主(柳家小さん、これがまた良い感じ)が少女の心配をするのを聞きつけて(あとで店主と同じ台詞をとらやで寅がもっともらしく論説するので注意)、あとを追う。少女は交番で犬塚弘に尋問中。間に入った寅は駅でとらやの住所を渡す。ホームへ向かう少女を心配そうに改札から見つめる寅次郎。カメラワークも抜群!

そしてとらやを訪問する花子、寅は変装して(メガネにちょび髭!笑)帰ってくる。しばらく花子を預ることに。どこかで働かせようとするが、寅は花子が気になって仕方がない。工場ではタコ社長、寺では御前様にやきもちを妬いて(寺にラクガキされた「スケベ」の文字を見て寅次郎が引き返すシーン、芸が細かい!)、結局とらやで働かせる。花子に話しかけるお客をつまみ出したりおいちゃんにつっかかったり落ち着かない寅に、花子は河原でとらちゃんの嫁っこになろうかな、とつぶやく。舞い上がった寅は一生面倒を見てやると宣言。

数日後。故郷に帰した方がいいんじゃないかと心配したおいちゃん達が役場に出していた問い合わせを聞き、先生(田中邦衛)がとらやにやってくる。熱血漢の先生はその日のうちに花子を連れて帰ったため、寅次郎が帰宅した時にはもぬけの殻に・・。ショックを受ける寅はまたまた旅に出るのであった・・・。

話にはまだ続きがあって、花子の元を尋ねた寅が弱気の時に出した手紙を見てさくらは津軽へ向かう。その後のシリーズではなんどかあるが、さくらシリーズ初のロケ敢行!だ。たまたま乗っていたバスに寅が乗り込み、顔を合わせてなんとかハッピーエンドなんだけど、なんとなくこれまでのシリーズとは毛色が違うものの、充実の一作だった。

寅さんトリビア
・さくらと博のアパート、さくらは内職のため月賦でミシンを買っている。さくらはあくまでも生活に苦しむ庶民として描かれている。
・初代マドンナの光本幸子、寅の母親のミヤコ蝶々が再出演し、これまでのシリーズを振り返る台詞も飛び出す。もしや集大成で終わり?と思うが、これはむしろ逆で、本格的にシリーズを意識してきたということの表れのようだ。


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