2006年06月25日

野獣死すべし #567

1980年 日本 119分

「蘇える金狼」のスタッフが再びハードボイルドに挑戦。邦画でもハードボイルドの原作をここまで表現できているのは素晴らしい!前回も書いたが、やっぱり主人公の世界を松田優作が表現しているのがぴったりハマってるんだと思う。原作を読んでいないので、原作のイメージ通りかどうかは知らないが、松田優作だけでも十分にハードボイルドなんだよねえ。

しかも今回は役どころこそ蘇える金狼同様普通のサラリーマンだが、カメラマンとして戦場に赴いた際に野獣の血に目覚め、殺人と強盗を繰り返しながら巨額の金を手に入れるという設定。。その目的や彼のアイデンティティは時折出てくる呪文のような長台詞にかき消されてよくわからないまま、狂気のボーイ、鹿賀丈史を仲間に引き込み、銀行強盗を企てる。エリートだった主人公が殺人に陶酔するというこの尋常ではない姿を演じるためには、説得力のある壊れっぷりだったのかもしれない。

クラシックコンサートで涙する優作、雨の中をたたずむ優作、自己陶酔した表情、怖すぎ渋すぎ〜!減量して、奥歯を抜いて頬をコケさせたという文字通り大熱演!

ラストの深夜の列車のシーンはこれまた痛烈。松田優作が追ってきた刑事室田日出男にリップ・ヴァン・ヴィンケルの話をしながら1発だけ弾を入れた銃を突きつける。室田日出男の額を流れ落ちる汗、話の切れ目に引き金を引く松田優作、空砲。だんだん狂っていく松田優作。列車は実際に走っているように見えたし、途中カットを入れずに長回しで一気に撮っている感じで、かなり迫力があった。
台詞はこのサイト・優作映画館に全文ありました。

さらにその先。逃げ込んだトンネルの中で戦場の思い出を喋りだす。だんだん思い出と現実が交錯していき・・・。丁度舞台のスポットライトが当たっているように見えて・・。

さらにさらに。コンサート会場で目を覚まし、階段の踊り場で○○されるシーンまで、すべてが松田優作のために作られた舞台である。最初はわからなかったなぜ、主人公は殺人を犯していくのか、がだんだんとラストの盛り上がりと共に明らかになっていくわけである。

とにかくモノスゴイパワーのある映画だった。


1959年にも東宝で映画化されていて、そのときの主演は仲代達也。

posted by 映画のせかいマスター at 07:45| Comment(2) | TrackBack(3) | や行映画(9)+ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする