1985年 NHK 119分
岡倉天心は明治の美術家であり思想家だ。1880(明治13)年卒業後、文部省に勤務し、東京美術学校を設立した。27歳で校長になった。
横山大観、下村観山、菱田春草らの美術院の青年作家たちは、天心の理想を受け継ぎ、広く世界に目を向けながら、それまでの日本の伝統絵画に西洋画の長所を取り入れた新しい日本画の創造を目指した。
さて、松本清張が描く岡倉天心は、西洋主義へと流れ始めた時代に流されながら、アジアを守ろうとする。日本美術界の異端児的な描かれ方で、貧しい苦労や弟子たちとの交流など、そして上司である九鬼男爵(佐藤)の妻・波津子(名取)とのいわゆる不倫関係を経て 1913(大正2)年、享年51歳で亡くなって行く。波津子と天心の悲恋の逸話は有名だったらしい。だんだん気が触れていく波津子を名取裕子が熱演した。これも和田勉演出。
松本清張TVドラマ