2006年03月09日

大病人 #505

1993年 日本 116分 伊丹十三監督作品

大俳優が入院して、そこでのドタバタを描くコメディだとばかり思っていたら大間違い。いわば伊丹一座、今回は医療ギョウカイ編!といったところだろうが、癌の告知、医者と患者の関係、死とは?、死に方生き方など非常に重厚なテーマだった。

患者である三国連太郎、医者である津川雅彦。場面場面で二人に強弱がつけられる。高飛車な患者、医師の威厳を持ってさらに上を行く医者。こういう(迷惑な)患者いるよなあ。医者はああではなくては。と思いながら見ている。

手術を繰り返しても治らない患者。それでも必死で治そうとする医者。次第に正しいはずの医療行為が残酷なものに見えてくる。「死」には各々いろいろな見方があるが、ちょっと立場を変えてみると正にも悪にも取れてしまう。

そして患者の怒りが爆発する。「お前のメスのために俺の体があるんじゃない。俺の幸せのためにお前のメスがあるんだ。」そして患者は治療よりも死ぬまでの間をどう生きるか、を問い始める。医者は困惑する。病気を治すことは教科書で習ったが、放置することは習っていない。どうしたらいいのか怖いんだ、と。

癌という病気の前ではとても歩み寄れなかった患者と医者が、「幸せ」を考え始めた時に共通の思いを持ち、最期は友情を伴って別れていく。

伊丹映画の中では一番メッセージを感じることが出来た名作だと思う。


posted by 映画のせかいマスター at 07:21| Comment(0) | TrackBack(0) | た行映画(49)+ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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